近づくほど遠ざかる夏

夏、ですね。




先日8月8日の、サニーデイサービスのワンマンコンサートは、とても充実したものでした。


「夏は行ってしまった」というコンサートタイトルを軸に選曲していくことは、すごく新鮮でした。
ここ数年、サニーデイは三人きりでライブをやっています。


これは結成以来ほとんどなかったことで、三人だけのワンマンコンサートは実は8日が初めてのことでした。
かつてはレコーディングされたものにどれくらい近づけることができるか、という点を追いかけて複数の楽器奏者にサポートしてもらっていました。
でも最近は、装飾を剥いで歌の核だけが残ったところで演奏したいと、常々思っています。



そこには10年以上前にロンドンで聴いたエリオット・スミスのライブの思い出があります。


当時ぼくはエリオット・スミスが大好きで、初めて聴く彼のライブとあって、いったいどんな演奏をするんだろうとドキドキしていました。
レコードでは彼の歌は朴訥としながらも、ピアノを始め様々な音が折り重なり、コーラスワークもとても流麗な仕上がりになっていました。


で、ライブ演奏はと言うと、ドラムの女性とベーシストの男性だけを従え、セミアコギターを抱えエリオットは淡々と歌を歌っていました。
美しいピアノもコーラスもなし。ギターは特別なことはぜんぜんやらずに、ほぼストロークアルペジオのみ。おまけにお喋りもまったくなし。


しかし、そこには裸のエリオットの歌だけがあり、ぼくは「ああ本当にいい曲だなあ!」としみじみと聴き入ってしまっていたのです。


これがぼくのもっとも印象に残っているライブ体験です。
だから、三人きりで演奏しているとき、ときどき心細くなってしまいますが、そのときのエリオットの歌を想い出して、そのときの雰囲気を目指しながらやっています。





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