日記

アートスクールとの九州ツアーはすごく楽しかった。
ぼくは数年ぶりにアートスクールのライブを聴いた(それも毎晩!)のだけど、
こんなにかっこいいバンドだったんだと改めて感じることが多かった。

鹿児島のライブハウスのロビーでは、天井から吊るされたモニターで最近のバンドのPVがずっと流れている。
ぼくはぼーっとそれに耳を傾けていた。
しかしほとんどの歌がぼくの心にぐさっとはひっかかってこない。
どの歌もキャッチーなサビを持っていて、そのポップなメロディは満面の笑みでこちらに歩いてくるのだけど。相手がフレンドリーであればあるほど顔を背けたくなるという、中学生の頃はっきり持っていた感覚が蘇る。
若者がこぞってぼくの「未来」を保証しようとしてくれ、「過去」を輝かそうとしてくれる。そしてぼくはどんどんうんざりしてくるのだ。
ボ・ガンボスのどんとはこんな世界に未練はないから時限爆弾に火をつけろと歌った。そして世界を変える旅に出ようと。
やっぱりロックはある絶望の縁から誕生するとぼくは勝手に信じている。だから他のどんなカルチャーにも勝る破壊力を持つのだ。

アートスクールの音楽は、できればだれとも友だちになりたくはないんだという表情を持っている。
きみとぼくはたぶん分かり合えないんだけどという前提のもと爆音で鳴らされるエレキギターを聴いていると、すごく大事なことを思い出しそうになる。