日記

今日は渋谷にあるタワーレコードでインストア・ライブ。お昼には会場に入るので、午前中に起きる。
ここ数日、例のコンピレーション・アルバムのミックスダウンや編集が続いてて、どうしても朝方に眠ることになってしまう。しかし、その努力の甲斐あって、全体像がだんだんと見えてきた。早くも断言していいと思うが、すごーく面白いコンピになりそうだ。参加メンバーみんな気合いが違う。なんか、ほとばしってる。夕べは小田島画伯ともジャケの打ち合わせをしたが、彼の案はとんでもなくカッコいい。このアルバム、だれよりもぼくが楽しみだ。ハードワークもなんてことはない。幸せだと思う。
ちなみにぼくがいちばん好きなコンピはチェリー・レッド・レーベルの『ピロウズ&プレイヤーズ』です。

渋谷のライブは「りんご追分」からスタートする。ぼくの弾き語りライブはいつも、見るほうもやるほうもどこに向かうのか分からない。まぁ、どこかには辿り着くのではあるが。
2曲目の「ストーミー」のアタマでいきなり弦がパチンと切れて、すっかり予定が狂う。もっとも守るべき予定もないのだが。張った弦はいつかは切れるものであるからして、しょうがないことだけど、今日は弦を張れるスタッフがいなかったために、お客さんのなかからギターの弦を張れる人を探す。名乗り出てくれたのは、浜田青年。飛行機のなかで病人が出たときに名乗り出るお医者さんのように、格好良かったです。ありがとう!ほかのお客さんたちもそう思ってるでしょう。
今日のライブはそんなふうに進んだ。浜田青年が弦を張ってくれてる間ウクレレを弾いたり、「STARS」をみんなで歌ったりした。最高に楽しかった。みんなどうもありがとう。また逢おうね。

そのあと、公園通りの喫茶ルノアールに移動してクイック・ジャパン誌のインタビュー。映画『青い車』について。ぼくも編集長の森山さんもライターの森さんも'90年代に青年期を過ごしていて、漫画『青い車』に流れる精神性は、どこか'90年代特有の精神性のある大きな部分を代表しているように感じている。でもなかなか、それがどういうところなのかうまく言葉にできない。漫画のなかでオザケンの「LOVELY」が愛憎を持って描かれる有名なシーンがあるが、そこがミソだと思う。「愛憎」というところが。現代ならオザケンの曲は全肯定的に受け止められるはずだ。「愛し愛され生きるのさ」は2004年には、限りないパワーを持って輝いている。すべてはそれを受け止める世界の体調によるものだと思う。
'90年代を語るのはぼくらにはまだ早かったみたいだ。

とりとめのない雑談のあと、隣のテーブルに移動してマーキー誌の松本さんと元シンバルズの沖井くんと、クリスマスにやるライブ・イベントの打ち合わせ。ぼくは、沖井くんの音楽に対するまなざしが前々から好きで、彼の次のステップの最初にご一緒できるのが、すごく楽しみだ。最後に何か一緒に一曲やりたいねなどと話す。

ホームズ・パスタで夕食。初めて行くお店だ。パスタを待つ間わりと大きな地震が来る。怖い。体がふわっとする。心配になって自宅に電話するが通じない。そうこうしてると大盛りのパスタが運ばれて来る。おいしかった。するとまた地震。体がふわっとする。もういちど妻のケイタイに電話すると、向こうも下北でカレーを食べていた。

今日最後の仕事はSHIBUYA FMでの生出演。ハルコやモモちゃんが遊びに来てくれる。ちょっとしたパーティ気分。集まってくれた人たちを前に、トークをしつつ、気分がいいので1曲の予定が2曲演奏する。ラジオで生演奏するのって、ぼくは好きだ。

みんなでBYGでコーヒーを飲む。大好きなベン・ハーパーの音楽が店内に流れていた。

家に帰ってまたコンピの作業が続く。今夜はダブルオーの植木が遊びに来てくれた。

深夜、渋谷のモジュールでイワキ ケンタロウ氏が回してるというので、ふらっと遊びに行く。初めて聴いたイワキさんののDJは不思議に深ーいファンタジックさで溢れていて、ぼくは昔行ったポルトガルの深夜遊園地を思い出した。踊りながら「この人とぜったいコラボレートしたい!」と思う。DJを終えたご本人にもそう伝えた。

クラブを出てタクシーに乗って家に帰る。タクシーのなかでラジオのニュースが、今日の地震の被害をずっと伝えていた。