(4日分の)日記

sokabekeiichi_diary2005-10-12

10月7日
ジョン・レノンの誕生日。武道館でオノ・ヨーコさんを迎えて毎年恒例のジョン・レノン音楽祭。
ぼくはかれこれ4年連続で出演させてもらっている。
毎年このころになるとヨーコさん(そしてジョン)のパワーで満たされるために武道館まで出かけていく。今年はベースの伊賀くんとサックスの加藤くんといっしょに(つまりランデヴーバンドだ)プレイして、「HOLD ON JOHN」と「ACROSS THE UNIVERSE」をうたった。
この日はヨーコさんが毎年新しい色紙にメッセージを書いてくれる。そこにはいつもの字で「夢を持とう」とある。今、事務所に飾ってるのは去年のやつだから、さっそく入れ替えなくちゃ。
「夢を持とう」。疲れたときはこの言葉に目をやる。ぼくはまだ夢を持ててるかな?
終演後、ローズ・スタッフの杉本ちゃんと下北でしっぽり飲み。深夜に帰宅する。
武道館のステージで真っ赤なドレスを着て、ひとり「マインド・ゲームス」を朗読した小泉今日子さんが信じられないほど奇麗だった。鮮烈だった。

10月8日
朝からハルコの幼稚園の運動会。ハルコにとっては生まれて初めての運動会、ぼくにとっては生まれて初めての父親としての運動会。初めてってのはいつでもむずむずとむずがゆい。なんだかそわそわしてしまう。
夕べはずっと雨。下北で飲んでるときも外はずっと雨だった。その店の主人の息子さんとハルコは幼稚園の同じクラスなので、これじゃ明日は中止だねえ、などと喋っていたのだったが、朝にはちゃんと上がっていた。われながら晴れ男である。
運動会にはみんなビデオカメラを持参で参加してるが、ぼくは手ぶら。ケイタイで動画を撮ろうとするがうまくいかず、やっぱり子どもの姿はフレーム越しじゃなくこの肉眼で見ようと、自分を納得させる。
両腕をいっぱいに振って行進して、かけっこで一生懸命走るハルコを見て、ハルコのことがもっともっと好きになった。
バギーに揺らればぶばぶ言ってるうみちゃんとハルコを交互に見やり、ぼくは運動場の隅にふわふわする気持ちでひとり立っていた。
年少さんの種目はお昼までで終わり、そのあと下北に行き家族でお昼ご飯を食べた。食べ終えるころにはまた雨が本降り。われながら・・・。

午後から新幹線で京都へ。京大西部講堂で3日間行なわれる「ボロフェスタ’05」に初参加。伝説の西部講堂に足を踏み入れるのは初めてでわくわくする。他のメンバーはもう車で出発している。
出演ぎりぎりに到着すると、夜の帳が降りはじめた京大のキャンパスにはたくさんの若者たちがそれぞれのグッド・ヴァイブレイションを持ち寄っていた。すごく素敵な光景のなか、野外ステージにはバイクのエンジン音が轟き、ギターウルフ登場。いやー、盛り上がる。
しかし、ギターウルフを観ている場合じゃなく、自分のステージ西部講堂へと急ぐ。
初めて入った西部講堂は、聞きしに勝るボロボロさで、朽ちた柱や壁の間からロックンロールの亡霊たちがやっぱりのぞいていた。
そんなことが影響したのか、ボロフェスタ初日の最後を飾ったこの夜のライブは最高だった。
曽我部恵一バンドを組んで、いちばん最高のライブができたと思う。じつはこの日までぼくらはスランプで、なんとかそれを抜け出そうとミーティングを重ねたりもがいたりしていたのだ。
この日、やっと光が見えた。ステージでバンドが完全に愛し合えた瞬間だった。
バックステージで抱き合う。この瞬間をいつも待ってるんだ。

10月9日
朝早く京都を出発して、東京へ車で移動。バンドメンバーで車移動するってのは、青春映画そのもので気持ちいい。でも運転する人は疲れるだろうなー。ありがとうオータくん&ケンちゃん(ぼくは免許を持っていないからね)。
代々木で大好きなラブクライとツーマン。
ラブクライとは前日のボロフェスタでもいっしょだったのだ。
ラブクライのライブを聴いて、太くうねるグルーヴにあてられぼーっとしてしまう。三沢くんのまっすぐなボーカルがキラキラしたサイケデリック・ソウルに乗って揺れている。こんな音楽、日本の宝物だと思う。
つられてぼくらもゆるーくグルーヴィにスタート。夕べとはぜんぜん違う素敵なライブだった。
気付いたら予定では1時間のところを2時間以上も演奏していた。メンバーだれもそのことに気付かないなんて!
ほの暗く輝くような夜の記憶。

10月10日
またまた午後から新幹線。今日は大阪服部緑地で<レインボー・ヒル>。親友のラボ・リボルバーが言い出して実現した大きなフェス。気心の知れたミュージシャンばかりのお祭りだ。
新大阪駅に着くと、けっこうな雨。あちゃー、と思うが、服部緑地に着くころにはきれいに止んで空にはオレンジ色の夕焼けが。うーん最高。
会場についてぼくが最後だと知りちょっとあせるが、ま、でも楽しもうか、外には気持ちいい風が吹いているし。
この日はぼくは弾き語りで、ボノボの松井くんとのセッションもやったりして、すっごく楽しかった。客席にはアニメーションズの面々の顔も見える。野外でみんなでいっぱい歌ったなあ。どうもありがとう。
終演後梅田に移動して打ち上げ。ラボ・リボルバー/ヤングブギーズのユウスケくんとロック談義で盛り上がり、彼を現在制作中のライブアルバムのプロデューサーに任命(突然)。
そのままぼくのホテルで寝てもらっていっしょに東京へ行くことになった。

10月11日
新幹線で大阪から東京へ。大型新人プロデューサー・ユウスケくんもいっしょ。
その足で小走り気味にスタジオに入り、夜中まで作業。夕方、なすおやじで野菜カレーを食べて、あたたかさとやさしさを体に入れた。
いや、このプロデューサー、ちょっとすごいっす。
最高のライブ盤まであと一歩!!

家に帰りポケットに入った4日分のものを取り出す。
小銭、紙切れ、空になったフリスク、領収書などなどにまぎれてジョンとヨーコが出てきた。
おやすみ。