四月になると彼女は

前回の日記の最後に出てきたため息のような「あぁ、花見したい・・・」を実現すべく、ひとり夜桜 in ベランダ。

2階にあるぼくの住む部屋のベランダは、なにを隠そう10畳以上ある。
そして目の前には大きな桜の木。
この季節、ベランダの柵越しに手をのばせば届きそうなところに、満開の桜。
これだけで、この物件を決めたのだった(家賃の安さもあるにはある)。


真夜中に、街灯に照らされた桜を見ながら、つれづれなるまま想いを巡らす。
揺れる桜は、なぜか年月の経過とそのはかなさを感じさせる、美しい花だ。

先月、自転車の練習を始めた娘は、もう余裕で運転が出来るようになっている。

あと数日で小学校の入学式。
スーツをつくろうかな、と思う。

街に出ると、初々しい人たちを見るようになった。
田舎から出てきて、きょろきょろとしている若者たち。

自分が香川から東京へ着いた春のことを思い出す。
無防備な自信に脳も体も支配されていたぼくは、東京へ出てすぐ春眠におかされ、自信のほとんどの部分を失ったのだった。



明日は、家の大掃除でもしようと思う。

年月が部屋のあちこちにたまりすぎている。