地球のレッスン

もしきみのポケットの中に自由になるお金が1300円あるなら、まよわず信頼できる本屋に飛び込んで、今すぐこの本を買うべきだ。

そして、魂をふるわせるべきだ。

北山耕平『地球のレッスン』。


以前出た北山氏の本『自然のレッスン』は、この地球というホームに暮らすぼくたちが、街という人工物でもある社会のなかでいかに「自然に」生きてゆくことができるか、ということを詩のような歌のような簡単で素朴な文章で綴ったもの。

2001年、ぼくがひとりで歌い始め、同時に家族を持ったそのころ、この本との出逢いがなければ、今こういうふうには生きていなかっただろうと思えるほどの影響を受けた。

世界全体が激動の波にのまれようとしていた時代、『自然のレッスン』はずっとぼくのこころにやさしくささやき続けてくれた。
今はそのささやきは心地良くひんやりとした風のように、ぼくのまわりにいつもある。


『自然のレッスン』(もともとは1980年代に出版された本)から9年。
時代があらたなディケイドを迎えた2010年、またあたらしい風が、びゅうっと向こうから吹いてきた。
それが『地球のレッスン』という本だ。

『自然のレッスン』が街に生きるぼくたちへの、シンプルなメッセージだとしたら、今作はまさしく「地球」に生きるぼくたちが手にできうる真実・価値・情報についてのステイトメント、そして詩だと言える。


本当のことはなかなか目に見えづらい、ましてや手に入れるなんてたいへんなこと。
でもぼくらはそれを求めてずっと旅している。

この本は、その旅路をちょっと明るく照らしてくれるだろう。


買ったばかりのぼくのモッズコート。
そのポケットにこの本はぴったりおさまった。

当分ぼくはこの本といっしょに歩くに違いない。