歌を探して

アラバキロックフェスからもどり、コーヒーを飲みながら。



サニーデイ・サービスの日比谷野音でのライブ。
これは活動を再開してからのライブではいちばんサニーデイらしいもの、というかサニーデイがずっと追い求めていたビジョンが、再びちらりと姿を現したものとなった。
音楽のなかにこういう風景を求めていたのだった。言葉では言えないが、選曲し練習し、流れを組み立てていくなかで、それが見えた。
そのビジョンを追い求めるなかで、しかしその困難さに負け、解散したことも思い出した。
日比谷野音でのサニーデイはもういちどその風景へ向かう旅路に立った列車だった。

しかし、アラバキの初日にサニーデイが立ったのは、そんな風景のなかではなく、霧の立ちこめる場所ではあった。
もちろん簡単に到達できるとは思っていない。
だが、活動を再開し、進むべき場所をかいま見たのだから、ぼくはそこへ向けて歩き続けようと思う。


初日の夜はクロマニヨンズを見た。

ぼくが高校のときブルーハーツを見たときと、何も変わっていないメッセージが、弾丸のように花火のように、爆発していた。
それは「ただ生きる、生きてやる」というシンプルで最高の宇宙の原理だった。



二日目はソカバンのライブ。
驚くほどたくさんのお客さんに囲まれて、自分の歌をうたいきった。
よくよく考えたらそれ以上求めることはない。


アラバキの最後では忌野清志郎トリビュートライブに参加させてもらった。

エゴラッピンのよっちゃんとふたりで「エンジェル」をデュエット。
中納良恵さんはこういうひとこそ天才と呼んでしかるべきではないかと思う歌い手なので、はっきり言って一緒に歌うことはとても気後れしてしまう。
何週間か前にやったリハーサルでも、「ああ、すごいなあこの人は」とばかり感じてしまっていた。
だから今日の本番ではもうとにかく上手いとか下手とか関係なく、一生懸命おおきな声を出そうと思って気負わずやった。
功を奏したか、なんとか歌えた気がする。

思えば去年のアラバキの最後でも、よっちゃんと一緒に「love-sick」を歌わせてもらっていて、自分にとってはめちゃくちゃ光栄なことである。


昨日も今日もその次も、歌を探して。

明日からもただただ歌っていくだけだ。

その旅路のなかで出逢うすべての人たちに最大の感謝を捧げたい。