日記

おととい豊田道倫のアルバム『SING A SONG』が発売された。
今年出るアルバムのなかで最もいいもののひとつだと思うので、ここにもういちど紹介しておこう。

フライヤーにぼくはこんなふうに書いた。

   *    *    *

豊田くんが弾き語りの2枚組のニューアルバムを出すのを知って、くやしくてしょうがない。
ぼくが先にこういうアルバムを作りたかったのに!
そう言っても始まらない、CDをプレイしてみる。やっぱりイイ。最高。
思ってたとおりのレコードだ。そしてまたくやしい。

しかし、豊田くんって「最高傑作」というのがないアーティストな気がする。
そのときそのときの最高傑作を出せる人だ。

アタマの数曲を聴いた感じでは、きっちりと煮詰まったイイ曲をセレクトしたんだな、というイメージ。
攻撃的リアリティよりも、シンガー・ソング・ライターとしての才能がひたすら溢れるカンジ。
すべての「自称シンガー・ソング・ライター」たちは、このあまりに巨大な実存主義的恋愛歌集の壁の前にひれ伏せばいい。

いろんなタイプの曲を作るのを止めて、単一的な表現方法になってきている。
そこがカッコイイ。ボ・ディドリィみたいだ。

音がいい。シンプルでいい。空間が存在している。一日で録ってる。最高のレコーディングだ。また、うらやましい。
ああもう内容に関してああだこうだ言うまい。こんなアルバム、宇宙に一枚っきりしかないのだから!

何十年も聴けるアルバムってのが日本のロックには少ない。
すべてがだれにも解り易く作られてるからだ。
このアルバムは十年、二十年とぼくの解けない疑問につき合ってくれるに違いない。よろしくね。

以上。
買いなさい。

   *   *   *