日記

土曜の夜。
10月8日にリリースされる『STRAWBERRY』他、いくつかの作品のジャケット・デザインが完了する。これで月曜日に入稿できれば、それらはちゃんと10月8日にリリースされるだろう。おととい、MARQUEE誌のROSE特集号のデザインを入稿したばっかり。デザイン担当のまみちゃんはそのあたりから、ほとんど寝てない。
だからすべての作業が終わった瞬間、ROSEオフィスのソファがソファベッドに変身する。おやすみ、まみちゃん。
今ごろ新木場ではRAW LIFEが盛り上がり始めるころだ。FORCE OF NATUREのDJで、なんとしても踊りたい。
でもまだツアー・チケットのデザインが残ってる。これも月曜入稿だ。最高にかっこいいチケットがだれかのもとに届きますように!最年少の大黒といっしょに作業を続ける。
そんななかでさっきはネットのトラブルが発生した。クレジット決済の委託会社がウイルスにやられる。チケットを買おうとおもう人たちが、商品一覧にアクセスできない。かわりにヘンな反戦メッセージみたいのが出る。黒地に赤の文字のダサイ画面。あったまくるなぁ、もう!ウイルスつくるなら、もっとセンスよくやってくれよ。だれかが幸せになるようなさ。じゃなきゃ、やるな。
ダブルオー・テレサのライブを終えたばかりのケニーが自分のデスクでそんな対応に追われている。
RAW LIFEに遊びに行った友だちが戻ってくる。当日券も無いのだそうだ。ぼくらは彼女たちにパスをわたす。彼女たちはまた新木場へと戻って行く。あっちは盛り上がってそうだ!
ぼくは新木場夢の島アリーナのRAW LIFEで演奏したあと、有明の東京ビッグ・サイトのGEISAIでも演奏する。GEISAIではROSE RECORDSの新人THE SUZANのデビュー・ライブもある。さらにROSEに企業ブースも与えられていて、そこでの展示もある。でもまだ何を展示するか決まってないのである・・・。
真夜中過ぎ。とりあえず、オフィスでの仕事をいったん終え、ぼくたちはバンド・ワゴンに様々なものを積み始める。ギター、アンプ、ドラム、レコードやCD、チラシ、机と椅子、そしてありったけの白いTシャツ。スタッフ5人でその車に乗り込む。寝ているまみちゃんを残し、ぼくらは新木場のRAW LIFEへと出発する。
高速の上で朝を迎える。

日曜の朝。
RAW LIFEに到着したぼくらを待ってたのは、とても気持ちいい初秋の風だった。だだっぴろい芝生の上おもいおもいに時を楽しむひとたち。最高!雨なんか降らないって言っただろ?こんな場合、気象庁は関係ありません。
最高の音楽が聴こえてくる。あれは瀧見憲司のDJに違いない。ぼくはかるく一服して、踊った。体がなにかからどんどん解放されていく気分を味わった。
瀧見さんのDJのあとはすぐ自分のライブである。ステージに立つぼくに素晴らしい光。これは太陽の光。
歌いながら会場のすみずみまで見える。寝転がってるひと。踊ってるひと。ぼくは歌ってる。前のほうにワックワックの山下くんがにっこりと体を揺らしてるのが見える。YEAH!元気?その後ろのほうに北沢夏音さんがゆっくりと体を揺らしてるのが見える。YEAH!元気?
最高のライブだった。みんなありがとう。夏が終わる瞬間に、ぼくは立ちあえたみたいだった。
ライブのあとは、ぼくらはあまり長居できない。でももうちょっと楽しんでいよう。沖縄そばを食べながら、レゲエの波に体を泳がせる。
午前10時過ぎ。ぼちぼちGEISAIへ向かおう。ぼくらがワゴンに乗り込む駐車場のステージ(このストリート・ステージのありかたが最高なんだ!)では、湯浅学さんのフリーキィなライブ。すごい!
車にエンジンがかかる。出発!さよなら夢の島。また来年。
10分くらいで東京ビッグ・サイトに到着。すごい近かった。
でっかい会場のなかには芸術家を目指すハングリーなオーラがすでに充満している。
ぼくらはライブの準備をしつつ企業ブースの組み立てをはじめる。となりのブースはきっちりと商品が並べられている。そのとなりのブースも・・・。で、ぼくらは机を置いて、その上でシルクスクリーンでオリジナルのTシャツを作って配ることにした。Tシャツには"SOKABE STRAWBERRY 10.8 OUT"とプリントされている。
宣伝アートである。子供たちがいっぱいもらってくれる。うれしい。
そして午後からライブ。まずTHE SUZAN。デビュー・ライブだ。彼女たちが人前で初めて演奏する舞台袖で、ぼくはめちゃくちゃ緊張してしまった。15分ほどのステージだったが、ほとんど覚えてない。そしてぼくのライブ。20分くらい。燃焼したが、短い。その瞬間、企業ブースでゲリラ・ライブをやろうと思いつく。
そして夕方。もう終わりかけた会場でライブをやる。本番よりもぜんぜん長くやる。人だかりができる。最後のほうで、LOVE-SICK。この夏の終わりに。
すべてが終わって、ぼくらは会場でぐったりしてた。
ROSEの加藤くんが「ひとをよろこばすのって、たいへんだね」と言う。
「そう、でもさいこうだね」とぼくもいう。
「オレたちの夏が終わったぜ」とか言いながら、その日は解散した。体は抜けがらのようだった。
そして東京の空を秋の夜が支配していた。