日記

午前中から夕方まで、寝たり起きたりまた寝たりしながら過ごす。
5時頃スペースシャワーの生出演があるというので、ようやく家を出る。
この無気力さはいったいなんだ、と考えてみる。
『STRAWBERRY』がようやく本当にリリースされて、張りつめていた緊張が緩んだことも、その一因としてあるかもしれない。
ダメだ、もっと自分を追い込まないと。

オフィスに戻り、コメントをくださいと言われているジョー・ストラマーのドキュメントのDVDを少し観る。
ジョーはザ・クラッシュを解散してもずっと音楽活動を続けた。でも'90年代はさっぱり売れなかったようだ。
アメリカをツアーしながら、ジョーは自分で自分をプロモーションし続ける。公衆電話からラジオ局に電話をかけて言う、自分はクラッシュというバンドをやっていたジョー・ストラマーというミュージシャンでできたら自分を出演させてくれないかと。でも彼の曲がオンエアーされることは稀だ。彼はもうザ・クラッシュじゃないからである。どこかの街でのライブ当日、ジョーはストリートに出かけて行って、自分で手書きしたチラシを通行人に配る。「今夜9時からごきげんなロックン・ロール・ショウをやるよ」と。「メンバーはみんな男前だぜ」と。そして映し出される通行人の冷めきった反応。そうやって、もうザ・クラッシュではない彼は、自らつけたストラマーという名前のままに、もがき続けていた。
でもそこには悲壮感はみじんもない。はつらつとしたエネルギーばかりが伝わってくる。ぼくがクラッシュのフィルムで観てきたのとまったく変わらないジョーのオーラである。なぜなら、これがパンクだからだ。ジョーはリアル・パンクスだからだ。ハートのなかに夢や希望ばかり持ってるからだ。DO IT YOURSELFが、いつだってパンクの合い言葉だからだ。
ぼくはジョー・ストラマーのそのパンクさ、つまりは格好良さを目の当たりにして、はらはらと泣きそうになる。が、スタッフの手前、我慢した。
そうだ、ぼくはもういちど気合いを入れなおさなきゃいけない。

ハルコが熱を出したというので、熱さまシートやゼリーなんかを買って家に帰る。
子どもが病気になることほど不安になることはない。
帰るとハルコはぐったりとしてソファで横になって起きてた。かなりの高熱。
いつもはぼくが帰ると抱きついてくるのに、今日は動かない。
熱さまシートを見つけてよろこぶ。
うとうとしながらも「ビートルズのDVD、観たい」というので、イエロー・サブマリンをかける。
"ノーウェア・マン"が流れてぼくが一緒に歌うと、「この曲、ハルちゃん泣きそうになる」と言う。見るとほんとに涙ぐんでる。「なんで?」と訊いても答えない。
そういえばちっちゃいころはぼくにもそんな曲があったよな、と思う。そんな説明できないのが。
彼女が一番好きな”ヘイ・ブルドッグ"が流れるころには、もう眠りについていた。