日記

深夜3時22分、新潟のホテルのベッドで目が覚める。
新潟WODDYでの2 DAYSが終わった。両日とも一生懸命歌えて満足している。
ぐったり疲れて12時過ぎには寝たのにもう起きてしまうとは、まだツアー暮らしに慣れることができずにいるのだろう。

お風呂にゆっくりつかってリラックスしようと思い、お湯をはっていると、床がすこし揺れる。地震なのか頭がクラクラしてるのかが判然としない。テレビをつけると速報が出て、やはり地震だったことを知る。

お風呂がたまるまで、できあがった『青い車』のサントラを聴いている。このCDは、今月の映画の封切りとともに、劇場のみで販売される。当初は10曲入りで最終段階までいったのだが、どうしても出来が気に入らず、6曲を選んで再編集した。それによってこのアルバムはすごく簡素かつ濃厚なサイケデリック・アルバムになった。
で、ぼくはこのアルバムを、できれば人に聴かせたくないほどに気に入っている。ジャケットもぼくが現在まで作ってきたもののなかで、いちばんアバンギャルドで美しい。この「人に聴かせたくないほどに気に入っている」というのは微妙な感覚で説明しづらい。普通は「早くだれかに聴かせたい」と思って作品を作るのだが。

すこし前、画家の奈良美智さんのスタジオ兼自宅に遊びに行った。そのとき彼は、いくつかの外に出さない、自分のためだけの絵をこっそりと見せてくれた。好きすぎて展覧会には出さないのだという。そんな絵があることにより、奈良さんはもっともっといっぱいの素敵な絵を描くことができるのだ。
ぼくはそのことがすごくよく解る。そして羨ましいとも思った。できればぼくもそんなふうに贅沢に作品を作って行きたい。奈良さんはそのなかから一枚の絵をぼくにくれた。

こうやっていろんなことを想いながら、毎日表現に向かえることは、とてもとても幸せなことだと感じる。