日記

深夜3時に目覚める。
体のどこも痛くなく、自由に動かせる。
熱が下がり、風邪が治ったことをはっきりと自覚する。
ぼくは部屋の窓を開け放った。
夜の氷のような空気で満たされる部屋。
そして、心にはふつふつと怒りが湧いてくる。
オレはこの風邪のおかげで何日も何日も自由を奪われていたんだ。
「ちっくしょう!ちっくしょう!ちっくしょう!」
安っぽいヒーロー物のように体中にエネルギーが充填されていく。
なにをしてやろうか?!
ぼくはとりあえずキッチンに向かい、ラップをかけられていた夕食のおかずの残りらしきものを発見する。
果たしてそれはニラ玉であった。
電子レンジに放り込む!
同時に、カボチャのみそ汁の鍋に点火。
それらを待ちながらも、にんにくをグリルで焼いて3個食べる。
みそ汁はぐつぐつ言いはじめ、電子レンジがチン!と鳴る。
オーケー、オーケー、オーケー、今からお前らをきれいに平らげてやるからな・・・。
それを成し遂げるのに、時間は要らなかった。
秒殺。
しかし感情は昂り続ける。
高まり行くゴスペル・コーラスのように。または、もはや怒りの鉾先を忘れた超人ハルクのように。
ぼくはコーヒーをいれる。
熱い熱い濃いコーヒーをいれる。
馬鹿げた病気を今夜中に完全に追っ払うために。
そいつがいなくなるまで飲み続けよう。
そしてギターを手に取り、復讐のバラードを書くのだ。