日記

京都でライブ。
行きの新幹線のなかで、高田 渡さんが亡くなられたことを知った。
混乱した悲しみのなかにぽつんと取り残されてしまう。

渡さんの思い出をいくつか持っている。
ひとつ思い出すのは、何年も前の川崎クラブチッタの楽屋でのこと。

何組かのアーティストが一緒の楽屋で、渡さんがハーモニカ吹きの人と音合わせをしてた。
当然ぼくらは耳をそばだててしまうわけだが、渡さんはその空気を読んで、1曲まるまるぼくらのために歌ってくれた。
そんなに年齢の離れたミュージシャンのうたを、目の前でマイクもなしで聴くのは、初めてのことだった。
ぼくはその声のおおきくて深いトーンにびっくりしたのだ。
そして、ずっと歌い続けるといつかぼくもこんなふうにうたえるようになるのかな、とも思った。
そのことはぼくが歌いつづけてる生活のなかで、何度か思い出すことがらだ。

高田 渡さんのアルバムで今聴きたいのは、『系図』である。ぼくはこのアルバムがいちばん好きなのだ。
たぶん、東京に帰ってすぐぼくはそのレコードに針を落とすはず。

今夜の京都でのギグでは、「コーヒーブルース」を自分なりにうたってみた。

そう、明日起きたら、三条へ行かなくちゃ。