日記

週の初めからずっと体調を崩してしまい、自由がきかない。最近、数日間ライブがないとこういうことになりがちで、自分の甘えなのか、幸運にもライブのない時期に風邪を引いているのか、どっちなのだろうと考える。
ひどい咳がずっと止まらず、さらに悪いことに咳をした瞬間に腰をひねってしまう。風邪&腰痛という二重苦になり、まわりから笑われる。
昔は風邪なんかほとんどひかなかったが、最近になって突然多くなった。理由はたぶん全力で活動し過ぎているからで、パワーが切れてはダウンするという構図だろう。
ファンのみんなからの手紙にも、最後には「・・・体だけは気をつけて」という言葉が付くことが増えた。こう言われてしまうのは、自分としてはちょっとダサイと思っている。80歳くらいまでは、体の心配なんかされたくないなぁ。
もう少しゆったりと力を抜いて、という考えも分かるのだけど、今のところは活動を緩めるつもりはまったくない!すべてに全身全霊でいることこそが、ぼくの存在理由であると思っているからだ。アーティストなんかクソ食らえ!これからも活動家としてのみ生きていきたい。

そんななか一昨日は千葉県長生群長柄町へ田植えに行って来た。もう十年以上も前から行なわれている「田んぼワークショップ」というプロジェクト(http://takalagula.at.infoseek.co.jp/index.html)への初参加。風邪&腰痛のぼくには田植えはもっとも過酷な作業に思われたが、予定は変えられない。
まずはこの活動の中心でいらっしゃる中野さんのログハウスにてお昼ご飯。鳥の声があちこちから響いてくる、緑の真ん中の素晴らしい場所にぽつんとあるログハウスだ。このプロジェクトの意義などを伺いながら、出していただいたおにぎりをなんとなくいただいたのだが、これが衝撃的に美味しい!そしてお味噌汁も。完全無農薬、そして自らの手で育てたものを食することの大事さはアタマでは分かっているものの、こうやって実際に美味しいものを食べると、ほんっとうに説得力がある。美味しさの次元が、なんというか、違うのだ。この時点で体調のことを忘れ去っているぼくである。

そして、田植えの作業。ぼくらはジーンズの裾を膝までまくり上げ、ゆっくりと水のはられた田んぼに入った。ぬるぬるしてどこまでも吸い込まれそうなその泥の感触がものすごく気持ちいい。そしてあたたかい。こんな経験は初めてである。地球とセックスしてる感じ。ここら一帯は全国でもめずらしい超粘土質の土壌だそうだ。
腰をゆっくり曲げて一本一本丁寧に稲を植えていく。昔の人はこうやってお米を作ったんだなぁ、と思う。そしてそれはいちばん原始的でシンプルで美しいことだと感じる。生きていくために大切なことのひとつを、身をもって知ることができた。
こうして最後は収穫までを自分の手でやってみることになるのだけれど、今からもうわくわくしている。

田植えを終えてみんなで近くの温泉に。ヨードの混ざった真っ黒い温泉につかっていると気が遠くなってくる。そのまま寝込んでしまい、夜までゲストハウスで眠ることに。

目が覚めた時、外には真っ青な美しい夜がやって来てた。