日記

佐野元春さんとの対談、渋谷のカフェにて。

ロック小僧だった中学生のぼくは毎週、ホントに欠かさずに佐野元春さんの「FMサウンドストリート」を聴いていたから、彼の喋り声はぼくのハートの奥に染み付いている。
あの番組、「MOTOHARU RADIO SHOW」を聴いていたひとなら同意してくれるはずだが、当時最もクールでご機嫌でフレンドリーでロックンロールなラジオ番組だった。
他の曜日を担当してた山下達郎さんや坂本龍一さんや渋谷陽一さんのDJも、もちろん毎週楽しみに聴いていたが、やっぱり佐野元春さんの月曜日(だったかな〜?)がいちばんカッコ良かった。
英語の単語を交えながらよどみなく喋るスタイルは、まるでポエトリー・リーディングだったし、まさしくライブだった。
突然ニュー・ヨークに渡ってセントラル・パークから中継が始まるような自由さが、ぼくは大好きだったし、そこにロックンロールの風をすごく感じていた。

そして今日、20年経っても何ら変わることのないそのお喋りが、テーブルひとつ隔てた向こうにあるのであって、ぼくはついつい聴き惚れてしまって、なかなか対談にならない。
今回の対談は、ぼくも佐野さんもインディペンデント・レーベルを活動の拠点にしているという共通点から、企画された。佐野さんのツアー・パンフに載るのだという。

彼は自分が持ってるインディペンデントの理念、つまりご機嫌なロックンロールのあり方について語ってくれた。
それはこういうことだと、ぼくは理解した。
これからはマスだけが支配する音楽産業は後退し、よりスモール・サークル・オブ・フレンズなコミュニティから確かな音楽、確かな楽しみを持った音楽が生まれる。そしてそんな様々な街の無数の素敵なスモール・サークルたちをぐんと俯瞰したとき、それは美しい点描画のようにも見えるだろうし、充実した音楽シーンと思えるのではないか、と。

佐野さんがしてくれたそんなクールな話にやられ、ぼくのエナジーも爆発寸前である。