日記

レコーディングから帰ると、もう昼。ぽかーーーんと晴れた真夏の真昼。

ぼくはタタミにごろんと横たわる。

なんかいいことないかな。なんかおもしろいことないかと、
夏は夏は過ぎるのです。

夏の想い出 その一。

小学校の時の臨海キャンプで出逢ったあのかわいい女の娘。
地元に帰ってきても、文通してたな。
あ、「文通」って手紙やりとりすること。
もうわかんない子ら、いるかもね。

ちょっとヤンキーっぽくって、かわいい娘だった。
もうだれかのお母さんになってたりするんだろうな。

そんなことはいざ知らず、ぼくのなかでは夏の暑さに真空パックされたような恋。
35歳だろうが、この暑さのなかでぼくはただの8月の息子だ。

今日もレコーディング。
アルバム制作最後の一日。

今日ですべてが終わる 今日ですべてがむくわれる 今日ですべてがはじまるさ。

このまま蝉の声聴きながらうとうとするか、街へ出るか迷う。
クーラーを一度止めて、窓を開ける。
とたんに、すべりこんでくる夏。

そうだ街へ出よう。
角の喫茶店に行ってみるか。
で、来るべきアルバムのタイトルでも考えよう。

むかしはさ、タイトルありきでアルバム作ってたよ。
今はできてから考えるんだ。
これはこどもの名前考えるのといっしょ。

見つかった。
なにが?
永遠が。
カレーの香りとまざりあった夏が。