池袋にて

立教大学
胸いっぱいだった。

今日はリハーサル終わりでキャンパス(今どきキャンパスって言葉がバッチリハマる)をフラフラ歩いた。
ツタの絡まるレンガの校舎が、今も素敵だった。
10年ぶりくらいかな。

で、ふつふつと蘇る入学当時の記憶。
つまりそれは、ぼくの「東京」という街に対する最初の記憶。
ぼくはここでお洒落でスポーツマンな男の子たちや、女子アナ予備軍のようなお嬢様方に囲まれ、今まで四国の田舎では感じたことのない疎外感を感じていたのだった。
ぼくはこんな人たちとざっくばらんに友だちになったり、こんな女の子たちとつき合えるのだろうか?
そして日々、田舎から出てきたばかりだと悟られぬように、ビクビクしながらやり過ごしていた。

今日ぼくは学食の片隅で、そんな失われた青春のかけらがキラキラと降ってくるなか、思いっきり歌った。
心の底を裏返してなにか絞り出すように、歌った。
途中で何度も泣きそうになる。

終わったときは、なんにも残っていなかった。
最後のひとしずくまで絞り出したみたいだ。

ずっと昔のトーキョーストーリーの終わり。
そして始まり。