電池切れのビッグマフの断末魔の叫びのようにオレの魂を震わせてくれ。

sokabekeiichi_diary2006-11-22

札幌市白石区のちっぽけなリサイクル屋にて3代目のBIG MUFFを手に入れた午後。
オレはビックリマンシールの最後の一枚を手に入れた小学生のような気分。
ビッグマフとはエレキギターの音を最大限にロックさせるための凶暴な発火装置。
参照→bloodthirsty butcherskocorono』のジャケ写。
参照→http://en.wikipedia.org/wiki/Big_Muff ウィキペディアはだれがどんな曲でビッグマフしたかをリスト化(かなり甘いが)。
ま、とにかくエンケンさんもカートコバーンもJマスシスも坂本くんも吉村くんもみんなビッグマフなのであって、そのでっかく四角い金属のボックスが熱狂するロッカーの足下から消えることは永久になさそうなのである。
年代によってルックスがずいぶん違うこのブツは、使う人間によって好みも激しく違う。
オレが愛するのはロシア製の最も粗悪なヤツ。ある時期版権がロシアに移り噂によると軍事工場で作られたという廉価版ビッグマフ。
アメリカ製の銀色のと違ってカーキ色で真ん中にぶっといスイッチが飛び出たゴツい爆弾みたいな代物だ。
これを飛行機に持って乗ろうとするときは間違いなく止められることを念頭に置くべき。
壊れても文句は言いっこなし、どのみち破壊のための道具だ。
しかし、砂のお城を木っ端みじんに叩き壊すような馬鹿な幼稚園児レヴェルの破壊衝動など早く捨てたいもの。人類とは建設的で構築的であるべきなのだから。それにぼくらはみんなもうおとなだ。
でもまた何人かの者がその掟から逃れようとし、未解析の美の方へと自らを埋没させようとする。
ともあれ諸兄よ、安いパーツを使って見よう見まねで作られたこのボックスはひと踏みで音楽を台無しにしてくれることうけあいであります。
ワイルドなビッグマフのシリーズのなかでもいちばん出来が悪いブラザーだ。
こいつがオレは好きなんだ。
今夜オレはこれを抱えて梶井基次郎檸檬」の主人公よろしくどこかのライブハウスへと忍び込もう。
ステージにこいつをそっと置き、その後の大惨事を夢想しよう。
札幌市白石区のちっぽけなリサイクル屋にて3代目のBIG MUFFを手に入れた午後。
オレはビックリマンシールの最後の一枚を手に入れた小学生のような気分だった。