市民プールにて

撮影で九十九里へ。
日々のカルマをとことんまで吸い取ってくれるこの浜が好きだ。
どこまでも続くような漂白された白い浜。
人影はまばら。空はなにも語らぬブルー。学校をさぼったセーラ服の女子高生ふたりが、砂浜に立ったウォッチタワーの下でたばこをふかしている。
完璧な風景。
海岸沿いを散策していて、市民プールの跡を見つけた。
水色のふたつのプールがある小さな市民プール。
ひとつは25メータープール、ひとつはまるい子供用。
どちらもひからびてからから。
ぼくは25メータープールにそっと降りてみる。
プールの底は、太陽が長い時間をかけてつくった小さな無数のひび割れやささくれが美しい模様を作っていた。
もう何年も前、ここには水がいっぱいに張られ、たくさんの人たちが夏の一瞬を楽しんだ。
キラキラと揺れる水面。
そんな残像がふと頭をよぎった。