日記

ライジングサンがおわった。

ぼくは二日連続の出演だったから、彼の地で羽目を外すこともできず、ビールをちびちびやりながらウロウロしていた。

一日目のランデヴーのライブは本当に最高だった。
力いっぱい歌えた。
結局ぼくは、こんなふうに力いっぱい歌うことがしたいんだな、と思ったし、そうすることができていたら、ランデヴーでもソカバンでも弾き語りでもあまり違いはないのだと思う。
歌うための形態に対するこだわりは、いよいよいらないぞと思ってきている。

最初は細くて強い雨が降っていた夕方の空は、演奏が進むにつれてどんどん暗くなっていき、最後にはほんとうの夜になった。
いつのまにか晴れていて、気持ちいい風が吹いていた。
だだっ広い夜の野原に人が溢れていた。
そのなかでぼくは歌っていた。


二日目の最後の方にはサニーデイのライブ。
その前に、いくつか他の人のライブを観た。
ムッシュかまやつ、ビーチズ・・・。観ればどの出演者も素晴らしい演奏をしていた。
みんな、この空間にやられてるのだろう。普通のライブじゃなかった。

そんななか、夕方に観た銀杏BOYZと夜になってからの椎名林檎のライブが圧倒的に良かった。
原始的に洗練された親睦の情に溢れた銀杏のサウンド
だれひとり寄り付く事を許さない椎名林檎の絶対性。
どちらにも完璧な孤独と完璧な悲しみがあった。
銀杏や椎名林檎を聴くとき、ぼくは泣いたり笑ったりできない。
巨大な壁のような宇宙観にただただ圧倒されるだけだ。

そして、夜も更けてサニーデイのライブ。

これは相も変わらず、学生の音楽だった。
ぼくが意識してそうしなくても、サニーデイで歌うと、書生の気分にもどる。
ああだこうだ迷ったり解ったつもりになったり感動したり泣いたり笑ったりしている、つまり旅をしているときの気分に。


かなりの緊張感のなかにいたが、自分としては素晴らしい夏の二日間だった。
「また来年も」という言葉が喉元まで出かかるが、同じ夏なんて二度とあるものじゃないのだ。