夏休みの日記
今日、帰省していた家族が東京に戻るので、ぼくの夏休みはいったんここで終了。
そんなわけで、夏休みの日記と言えば夏休み最後の日にまとめて書く、というのが定番なので、それにしたがいつつ。
毎年、夏休みはそうなのだが、家族がまとめて実家に帰ると、ひとりきりのがらんとした家は、90パーセントの開放感と10パーセントのさみしさで満たされる。
はじめは、外でご飯食べたりお酒飲んだりして何時に帰宅してもいいもんね、なんて開放感を謳歌しているのだけど、じょじょにさみしさのパーセンテージが増してくる。
子どものきゃーきゃー騒ぐ声にずいぶんエネルギーもらってたんだなあ、とか考えたりして。
普段はうるさくてかなわないんだけど。
だから夏休みの最後は開放感とさみしさがちょうど半々の、微妙な感じ。
でもこれは小学校の頃から変わらないのかもね。
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とてもとても印象に残った映画を映画館で二本観た。
ロバート・アルトマン監督の『ナッシュビル』。
テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』。
『ナッシュビル』は1976年の映画。
20人以上の人々がカントリーの聖地ナッシュビルで過ごす数日間を、だれを主人公にするわけでもなく描くドラマ。
一見お互い関係なさそうで、実は微かに絡みつつ、ラストではみんながひとつの体験を共有する、という、ぼくの大好きな『マグノリア』のひな形のような作品。
メタフィクション具合がくせになり、この夏二度も映画館へ足を運んだ。
『ツリー・オブ・ライフ』は心底震えて、観終わった時は言葉がなかった。
『2001年宇宙の旅』が表現した、人智や善悪を越えていく絶対的で無慈悲なる美(神)。
この映画は、でもその先にある、それすらも凌駕する人間の心や魂や命の持つ美しさを描いているようだった。
こんなふうに書くととても観念的で自分でもイヤになるが、とにかく心のふかいところに染みてくる、清流のような映画だった。
魂や愛といった形なきものをフィルムにおさめようとするする監督の執念に、やられた。
あとはDVDで観た新藤兼人監督の『どぶ』も良かったなあ。
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曽我部恵一BANDのレコーディングはとても難航。
その制作から離れている日は、ライブ以外だと無いと言っても過言ではないが、出口の光、さっぱり見えず。
が、これに関しては、ライブをやりながらそこに近づくしかないなあ、と思っている。
たぶん数歩は進んでるはず。そう信じながら続けよう。
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夏フェスも楽しかった。
弾き語り、真夜中のライジングサン。
最高に暑かった日のロックインジャパンでのソカバン。
詳しくはライブブログをのぞいてください。
震災や原発事故のことで、いろんなネガティブな要素もあったが、それでもやっぱり夏は夏だった。
蝉がうるさいくらいに叫び、汗はぽたぽたと落ちた。
今年もぼくの汗は地面に黒いしみをつくった。
ひとつひとつがこの夏の想い出だ。
いやいやまだ、夏のイベントは続くのですが、ま、なか締めということで。
「オレの夏のサウンドトラック」。
今年は総合的に見るとキャプテン・ビーフハートと彼のマジックバンド『トラウト・マスク・レプリカ』だったかな。
キャプテン・ビーフハート率いる楽団も、この宇宙をひっくりかえしてちゃぶ台の上で丸めたような音楽を1969年の魔夏に作っていたのだ、なんて想像しながら。