夏の楽しみ あなろぐ&さにーでい


なかなか素敵なアナログ盤が二枚リリースされます。


すでにアナウンスされていますが、曽我部恵一BAND名義の10インチと7インチです。



10インチはDJヨーグルト&コヤスによる「スウィング時代」と「STARS」のリミックス盤。
ソカバンをいつも応援してくれているヨグさんが大好きな二曲を、思い入れたっぷりに再構築してくれました。
仕上がりのほうは聴いていただいてのお楽しみですが、こういうリミックスはお仕事と言うよりも、友からのプレゼントのようで、なによりもいつも自分が楽しみなのです。



7インチはアルバム『曽我部恵一BAND』に収録されている「サーカス」という曲。
この曲はアルバムの中でももっとも個人的な曲がします。なんのことを歌っているの?とたずねられても、うまく答えられません。
ただじぶんのなかにずっとある風景なのです。だからこの曲が大好きで、アルバムからそっと誘い出して、別のかたちでもたずさえておきたかったのです。


ジャケットはポスター仕様にして、いまいちばん好きな漫画家のふみふみこ先生に絵を描いていただきました。
こんな豪華なジャケットにシングル一枚だとさみしいので、この曲のライブテイクや別ヴァージョンが入ったCDも付きます。こちらにはスカート(彼の音楽も大好きです!)によるリミックスも収録されます。そしてダウンロードによるソカバンの大塚くんによるヴァージョン(10分を越えるらしい!)も手に入ります。



こんな素敵な2枚です。予想以上に好評いただいて、予約はもう締め切りとなってしまいましたが、追加プレスも検討中であります。



アナログ盤はどうしても限定生産にならざるを得ないアイテムです。
ソカバンの今回のアルバムもそうでしたが、ほしかったのに手に入らないという方たちの声をきくと、胸が痛みます。


と同時に、こうしてアナログ盤を制作していると、アナログ盤の時代は大きなコストとリスクをかけてていねいに音楽を商品として売っていたのだな、ということもわかってきます。

音作りの段階からCDとちがって原音と同じ音に商品が出来上がってくるわけではありません。アナログ盤にカッティングされたときの音を想像し逆算して原音を作るのです。失敗したときのやりなおしにも、おおきな労力が必要になります。
ジャケットも厚紙に印刷し、組み立てるのでコストも時間もCDの何倍もかかります。
出来上がってからも、おおきくてかさばるので、物流的にもなかなかたいへんです。


こうしてアナログ盤をつくっていると、なぜすべてがCDに移行し、今またmp3になろうとしているか、よく理解できます。またそれらの道順はとても理にかなっているとも思います。


でもぼくはこうしてアナログ盤をつくることが大好きなので、続けています。
これからもCDのリリースや配信と平行して、こんなふうなちいさな仕事を続けていきます。
じつはちょっと、こんなちいさな仕事のほうにおおきな意味があるんじゃないかとも、ずっと思っているのです。




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8月8日にサニーデイ・サービスの久しぶりのワンマンコンサートをやることになりました。
場所は東京恵比寿のリキッドルーム


内容は秘密です。


題名は「夏は行ってしまった」というのにしました。





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アキ・カウリスマキ監督の新作『ル・アーヴルの靴磨き』を観ました。


カウリスマキ監督の映画にはいつも、普通のひとたちの普通の人生が写されています。
でもこんなにドラマチックでやさしいのはなぜでしょう。
観終わると、こころが5グラムくらい軽くなります。家路を急ぐまえに、コーヒーでも一杯飲んでいこうかというような気になるのです。


カウリスマキ監督はなんにもしらんぷりして、こんな魔法をつかうわけです。